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予告編ビジュアルも解禁 出演者のコメントなども発表

夢何生は国内外の多数の映画祭で話題になった『ある惑星の散文』が2022年6月4日(土)から池袋シネマ・ロサにて単独レイトショーを公開し、その後順次公開することを決定した。さらにポスタービジュアル、予告編などが解禁となり、世界中で評価される諏訪敦彦、濱口竜介、井口奈己からのコメントも到着。

adf-web-magazine-the-forvitten-planet-1本作のビジュアルはイラストレーターの坂内拓が手がけ、宣伝デザインはアートディレクターの大澤悠大が担当。本作が初の劇場公開作となる深田隆之は濱口竜介『偶然と想像』の助監督をつとめ、横浜で「海に浮かぶ映画館」を主催するなど独自の映画へのアプローチを行なっている。

『ある惑星の散文』予告

ふたりは惑星のように停滞した時間を彷徨う
自分を記憶する存在を求めてadf-web-magazine-the-forvitten-planet-2

コメント

諏訪敦彦

居場所を失いこの世界から忘れられてしまう不安を抱えて、ふたりは惑星のように物語を彷徨う。その感情は安易なドラマに飲み込まれることなく、ひとつの光学装置となって世界へと折り返される。その無垢なる視線が発見するのは純粋な体験としての世界の光景=映画なのだ。

濱口竜介

横浜に通いロケハンも撮影もして来た者として、本牧あたりの無機質で何処か人間の存在を小さく感じさせる「あの風景」を写し取る詩的な感性に素直に驚く。ただ、小さくとも人は確かに存在している。やがて、この映画はいつの間にか(と言うほかない)二人の女性の実存を問うものに変貌していく。風景のなかにいた人が、ハッキリと浮き出てくる。この危うく美しい瞬間、この映画は詩であるよりも散文であることを果敢に選び取る。ここに監督・深田隆之の向かう先もあるのではないか。

井口奈己

奇跡的に出会っても同じ言葉を使っていてもすれ違い離れていく。何度でも何度でも、時間を使い場所を変えて繰り返す。画面から溢れ出る同録の、映ってはいないけど確実にそこにいるであろう人々の生活の音。遠くピントも合ってないところで遊ぶ子どもたち。一見無駄に見えるループだけど、そのループこそが「生きてる」ってことかもしれないし、面倒くさい事に巻き込まれてる、面倒くさい彼女たちの「希望」なのかもしれない。

横浜のロケーションからシナリオを発想させた映画

横浜市に長く住んでいながら一度も行ったことがなかった本牧という土地。この本牧というエリアで映画を撮れないかと思ったのは2015年初めのことでした。本牧はかつてアメリカ軍に接収されながらその文化を吸収し、音楽を中心とした文化の発信地となりました。しかし、その後の鉄道計画の頓挫により、開発された巨大な建物が多く残るエリアとなっています。接収されていた痕跡も今はほとんど見えなくなり、”陸の孤島”と呼ばれるほどアクセスも悪くなってしまったこの土地に、わたしは歴史の地層とも呼べる複雑な魅力を発見していたのだと思います。『ある惑星の散文』の登場人物たちは様々な不安を抱える人間たちです。恋人との新たな生活が始まらない、自分自身は忘れられるかもしれない、そんな不安と本牧という土地が持つ時間の地層が呼応し合うのではないかと考えていました。終盤、映画館のシーンで芽衣子はささやかな生きる希望を見出します。このシーンはまさにマイカル本牧のがらんどうになった映画館から発想したシーンでした。わたしにとって、土地からシナリオを発想することは「ここには人がいるのだ」という映画を撮影する上での根幹を支えるものなのです。(深田隆之) 

adf-web-magazine-the-forvitten-planet-12あらすじ

脚本家を目指すルイは海外に行っている映画監督の恋人アツシの帰りを待っている。スカイプ越しに会話を交わす2人は新しい生活への計画に胸を躍らせる。一方、芽衣子は精神疾患によって舞台俳優の活動を離れカフェで働いていた。そこへ急に兄のマコトがやってくるが…。人生の岐路に立つ女性2人が織りなすささやかな物語。adf-web-magazine-the-forvitten-planet-10adf-web-magazine-the-forvitten-planet-8

深田隆之

1988年生まれ。2013年、短篇映画『one morning』が 仙台短篇映画祭、Kisssh-Kissssssh 映画祭等に入選。2018年『ある惑星の散文』が第33回ベルフォール国際映画祭(フランス)の長編コンペティション部門、国内では福井映画祭にてノミネート。2019年アメリカ、ポートランドで行われたJapan Currents、日本映画特集にて上映。また、濱口竜介監督『偶然と想像』の2,3話に助監督として参加している。映画制作以外の活動として、2013年から行われている船内映画上映イベント「海に浮かぶ映画館」の館長でもある。社団法人こども映画教室の講師・チームファシリテーターとしても活動中。2021年からは愛知大学メディア芸術専攻で非常勤講師を務めている。