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坂本の先駆的・実験的な創作活動の軌跡をたどる

坂本龍一|音を視る 時を聴く」が東京都現代美術館で2024年12月21日(土)から2025年3月30日(日)まで開催される。本展は音楽家・アーティストとしての坂本の大型インスタレーション作品を包括的に紹介する国内初となる最大規模の個展となる。

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「坂本龍一|音を視る 時を聴く」展 ポスタービジュアル

坂本は50年以上に渡り、多彩な表現活動を通して時代の先端を常に切り拓いてきた。90年代からはマルチメディアを駆使したライブパフォーマンスを展開し、さらに2000年代以降は様々なアーティストとの協働を通して音を展示空間に立体的に設置する試みを積極的に思考、実践を重ねてきた。本展では、生前坂本が東京都現代美術館のために遺した展覧会構想を軸に、坂本の創作活動における長年の関心事であった音と時間をテーマに未発表の新作とこれまでの代表作からなる没入型・体感型サウンド・インスタレーション作品約10点が、美術館屋内外の空間にダイナミックに構成・展開される。これらの作品を通して坂本の先駆的・実験的な創作活動の軌跡をたどり、坂本の新しい一面を広く紹介する。

本展のコラボレーション・アーティストとして、高谷史郎、真鍋大度、カールステン・ニコライ、アピチャッポン・ウィーラセタクン、Zakkubalan、岩井俊雄、さらにスペシャル・コラボレーションとして中谷芙二子が参加している。また、会期中には参加作家による関連プログラムなどが予定されている。

坂本龍一+高谷史郎

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坂本龍一+高谷史郎 ≪IS YOUR TIME≫ 2017/2023 年
「Ryuichi Sakamoto | SOUND AND TIME」展示風景、成都木木美術館(人民公園館)、2023 年
画像提供:成都木木美術館

坂本が 2011年の東日本大震災の津波で被災した宮城県農業高等学校のピアノに出会い、それを「自然によって調律されたピアノ」と捉え作品化した《IS YOUR TIME》(2017/2024)。大自然の営みによって一つのモノに還ったピアノが世界各地の地震データを使って、地球を鳴動する装置として生まれ変わった。

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坂本龍一+高谷史郎 ≪LIFE–fluid, invisible, inaudible...≫ 2007/2023 年「Ryuichi
Sakamoto | SOUND AND TIME」展示風景、成都木木美術館(人民公園館)、2023 年
画像提供:成都木木美術館

2007年に発表された代表作《LIFE–fluid, invisible, inaudible...》(2007) は、坂本のオペラ『LIFE』(1999) をベースとするサウンドに包まれた空間に、頭上に浮かんだ9つの水槽が明滅する中を、庭を散策するようにしばし佇みながらゆっくりと歩み、従来のリニアな体験とは異なる時空間の拡がりと流れを体感できるインスタレーション作品。

「async」シリーズ

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坂本龍一+高谷史郎《async–immersion 2023》2023 年
「AMBIENT KYOTO 2023」展示風景、京都新聞ビル地下1階、2023 年
Photo by Satoshi Nagare

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坂本龍一+Zakkubalan《async–volume》2017 年
「Ryuichi Sakamoto | SOUND AND TIME」展示風景、成都
木木美術館(人民公園館)、2023 年
画像提供:成都木木美術館

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坂本龍一+アピチャッポン・ウィーラセタクン
≪async–first light≫ 2017 年「Ryuichi Sakamoto | SOUND
AND TIME」展示風景、成都木木美術館(人民公園館)、2023 年
画像提供:成都木木美術館

2017年にリリースされたアルバム『async』をきっかけに、坂本は同アルバムを「立体的に聴かせる」ことを意図し、Zakkubalan、アピチャッポン・ウィーラセタクン、高谷史郎らとインスタレーション作品を制作した。

坂本龍一+真鍋大度

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坂本龍一+真鍋大度≪Sensing Streams 2021–invisible, inaudible≫ 2021年
「seeing sound, hearing time」展示風景、木木美術館(銭糧胡同館)、北京、2021年
画像提供:M WOODS photography team

真鍋大度とのコラボレーション《センシング・ストリームズ 2024–不可視、不可聴 (MOT version)》は、携帯電話、WiFi、ラジオなどで使用されている電磁波という人間が知覚できない「流れ(ストリーム)」を一種の生態系と捉えた作品。今回の展示のために屋外に16mに渡って延びる帯状のLEDディスプレイを用い、常に変貌を遂げる東京という大都市の目に見えないインフラの姿を映像と音で描き出した。

スペシャル・コラボレーション

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中谷芙二子《ロンドンフォグ》霧パフォーマンス #03779、2017 年「BMW Tate Live Exhibition: Ten Days Six Nights」展示風景、テート・モダン、
ロンドン、英国 コラボレーション:田中泯(ダンス)、高谷史郎(照明)、坂本龍一(音楽) 撮影:越田乃梨子

1970年に大阪万博のペプシ館を水を使った人工の霧で覆った「霧の彫刻」で知られ、世界各地で霧のプロジェクトを実施している中谷芙二子とのスペシャル・コラボレーション。坂本龍一+中谷芙二子+高谷史郎《LIFE–WELL TOKYO》霧の彫刻 #47662 は、東京都現代美術館屋外のサンクンガーデンを使って、霧と光と音が一体となった、自然への敬愛や畏怖の念を想起させるような夢幻のシンフォニーを奏でる。

坂本龍一

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Photo by Neo Sora ©2017 Kab Inc

1952年、東京都生まれ。1978年『千のナイフ』でソロデビュー。同年「Yellow Magic Orchestra」結成に参加し、1983年の散開後も多方面で活躍。映画『戦場のメリークリスマス』(83 年)の音楽では英国アカデミー賞、映画『ラストエンペラー』の音楽ではアカデミーオリジナル音楽作曲賞、グラミー賞、他を受賞。環境や平和問題への取り組みも多く、森林保全団体「more trees」を創設。また「東北ユースオーケストラ」を立ち上げるなど音楽を通じた東北地方太平洋沖地震被災者支援活動も行った。1980年代から2000年代を通じて、多くの展覧会や大型メディア映像イベントに参画、2013年山口情報芸術センター(YCAM)アーティスティックディレクター、2014年札幌国際芸術祭ゲストディレクターを務める。2018年piknic/ソウル、2021年M WOODS/北京、2023年 M WOODS/成都での大規模インスタレーション展示、また没後も最新のMR作品「KAGAMI」がニューヨーク、マンチェスター、ロンドン、他を巡回するなど、アート界への積極的な越境は今も続いている。2023年3月 28日、71歳で逝去。

「坂本龍一|音を視る 時を聴く」開催概要

会期2024年12月21日(土)~2025年3月30日(日)
時間10:00~18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)
休館日月曜日(1月13日、2月24日は開館)、12月28日~1月1日、1月14日、2月25日
会場東京都現代美術館 企画展示室 1F/B2F ほか
料金一般2,400円/大学生・専門学校生・65歳以上1,700円/中高生960円/小学生以下無料
URLhttps://tinyurl.com/4kzbzrke