KOTARO NUKAGAにて平子雄一個展「GIFT」開催
KOTARO NUKAGAでは、植物や自然と人間の共存について、またその関係性の中に浮上する曖昧さや疑問をテーマに制作を行う、平子雄一の個展「GIFT」を 2021年1月23日(土)から 2月27日(土)まで開催する。
ペインティングを中心にドローイングや彫刻、インスタレーション、サウンドパフォーマンスなど、多岐にわたる表現方法を用いて、現代社会における自然と人間との境界線を問う作品を制作し続けているアーティスト、平子雄一。デンマーク、オランダ、シンガポール、台湾、韓国など、国外でも精力的に作品を発表し、国内外を問わず高い評価を得ている。本展では、平面作品や立体作品など平子雄一の新作30点以上を発表する。
豊かな自然環境に恵まれた岡山で生まれ育ち、その後ロンドンに渡った平子は、都会の人々が嗜好する自然が人工的に制御されたものであることに違和感を覚え、以来一貫して自然と人間の関係性をテーマに制作を続けてきた。人間たちが心理的な癒しを求めて身近に置く自然は、観葉植物や街路樹、公園など、自然を模倣した断片に過ぎず、人間の都合に合わせて管理された本来の姿からは大きく逸脱したものだ。
自然や植物 を人や構造物と同等のものとして扱っています。人間の生活圏では植物の力がコントロールされ、必要ないものは排除される存在(=弱者)ですが、それらを同じレベルのものとして扱い混在させることで、人と植物の境界、内と外との境界 が曖昧な状況を創造しています。
-平子雄一
今回の展覧会のタイトルにもなっている「GIFT」は、絶え間なく変化を続ける自然環境にともない、人々の自然に対する価値観も変容していくことから着想を得ている。贈られた当初は美しく咲き誇り、その美しさを保つために毎日水を入れ替えて手入れを施し飾るが、時が経ち枯れてしまえば廃棄される対象の花。また果てしない歳月を経て御神木として祀られる樹木。体感的な時間の感覚や利己的な価値観によって自然は選別され、人間に都合よく消費されていく。それを象徴するのが、平子の絵画にしばしば描かれる樹木と人間が融合した登場人物。一見ユーモラスで可愛らしい姿をしているが、人間のエゴを体現する存在だ。
平子の絵画に描かれるシチュエーションは、一見現実にはあり得ないものばかりだ。しかしそこは、平子が普段目の当たりにしている現実世界を組み合わせた、あくまでも現実の延長として存在しており、絵画と現実をつなぎ止めているのは人間と自然の関係性という通底する視座だ。寓話的な世界観を通し、自然に対して一方的な価値観を押し付けてはいないのか、改めて私たちに再考を促す。
平子雄一 プロフィール
1982 年岡山県生まれ、東京都在住。2006 年にイギリスの Wimbledon College of Art, Fine Art, Painting 学科を卒業。 観葉植物や街路樹、公園に植えられた植物など、人によってコントロールされた植物を「自然」と定義することへの違和感をきっかけに、現代社会における自然と人間との境界線を、作品制作を通して追求している。
平子雄一「GIFT」開催概要
会期 | 2021年1月23日(土) ‒ 2月27日(土) |
会場 | KOTARO NUKAGA 東京都品川区東品川1-33-10 TERRADA Art Complex 3F |
休廊日 | 日月祝 |
開廊時間 | 11:00-18:00(火・水・木・土)、11:00-20:00(金) |
公式サイト | https://www.kotaronukaga.com/projects/gift/ |