「真田丸」の題字やホテルエントランスなどを手掛ける稀代の職人

寺田倉庫は2023年1月21日(土)から2月14日(火)までイベントスペースにて左官職人 挾土秀平による特別展覧会「土に降る」を開催する。日本の伝統的な技術である左官に注目し、「土」「水」「光」といった自然とつながる美意識を倉庫の空間全体で表現。今回のために制作した新作のほか、500㎡の倉庫の床を「土」で覆った独自の世界観を通じて、進化を続ける挾土秀平のいまを体験できる展覧会となる。adf-web-magazine-plasterer-shuhei-hasado-falling-earth-1
東京・天王洲は、江戸時代までは海中の土砂が蓄積してできた砂洲であった土地。大正時代末期ごろより埋立てが始まり、工場や倉庫が立ち並ぶ戦後の復旧を支える物流拠点となった。その天王洲を拠点とした寺田倉庫は約70年もの間、倉庫で美術品やワイン、貴重品など大切なものを預かってきた。天王洲の土地の記憶は長い年月の砂や土の蓄積に加え、その上に建てられた倉庫で大切なものに込められた人の思いが降り積もって成り立っている。文化を創る企業として、土地の記憶を大切にしながらその地で文化を豊かに花開かせることは、寺田倉庫のミッションに通じる願いでもある。

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作品名:「台風一過の晴天」 Photo:ToLoLo studio

日本を代表する左官職人であり、その技術をアートの世界まで昇華させている挾土秀平もまた、土を通して人間の原点に迫ろうとしている。そのような挾土の土への思いに共鳴し、特別展覧会を開催することとなった。現在はビルも立ち並ぶ天王洲の倉庫空間において、「土」「水」「光」といった自然とのつながる美意識を体験する場を表現するために、新作を含む挾土の作品を展示するほか、倉庫の床全体を「土」で覆い独自の世界観を演出する。都会で「土」を身近に感じることで、鑑賞する人が土地と人との関係を身体的に再解釈し、歴史と未来に思いを馳せる時間を提供する。

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作品名:「シルクロード」 Photo:ToLoLo studio

人間らしさ、生身であること、
これこそが「ものづくり」の根源である

今の時代とはひと味違うアナログ感、
自然観、環境的な社会性、
「土」「水」「光」でつくりだす美意識を
一つの世界観としてつたえたい

人間はどこからきたのか、
その原点を探すように歩くうちに、
訪れた人が自然にもてなされている
巨きな茶室とでも言うべき空間である

挾土秀平

挾土秀平(はさどしゅうへい)

職人社秀平組代表。1962 年、左官職人の2代目として岐阜県高山市に生まれる。熊本、名古屋などで修行。1983年には技能五輪全国大会左官部門優勝。地元に戻り、父の会社で美術館やホテルなどの現場を手がける。2001年「職人社秀平組」を設立。土・砂・石灰・藁など、自然素材の質感や色を活かし、ストーリーのある壁を制作。ザ・ペニンシュラホテル東京、アマン東京、羽田空港国際線JALファーストクラスラウンジ、馬事公苑などのほか、NHK大河ドラマ「真田丸」の題字・タイトルバックも手がけた。土を用いたアート作品も制作する。著書に『のたうつ者』(毎日新聞社)、物語詩3部作『青と琥珀』『歓待の西洋室』『光のむこう』(木耳社)、『左官 挾土秀平の生きる力』(六耀社)、『ひりつく色』(清水弘文堂書房)。

挾土秀平 「土に降る」開催概要

期間2023年1月21日(土)から2月14日(火)まで
会場寺田倉庫G3-6F
時間12:30 ~ 17:30(最終入館17:00)
入場料無料