没後50年今も愛され続ける天才画家ピカソの言葉
大和書房は、没後50年20世紀美術の革命家ピカソの熱狂的な生き様に迫る一冊『ピカソの言葉』を2023年4月12日に発売した。『ココ・シャネルの言葉』『オードリー・ヘップバーンの言葉』など、世界に名を残す女性の言葉を集め累計60万部を超えた“読むことで美しくなる言葉”シリーズ初の男性は、今なお世界中に愛されるパブロ・ピカソ。
「ピカソが全部やってしまった!」戦後アメリカ美術界のスター、ポロックは伝記映画の中で、絶望にまみれた声でこう叫ぶ。新たな表現方法を目指す芸術家たちにとって、ピカソは彼らの夢をあらかじめ打ち砕いてしまうような、ありとあらゆることを成し遂げた人物であった。ピカソの人生のキーワードである「変化」「発見」「破壊」、そして「闘い」。「おまえは何者なのか」と自問し、闘い続けて生きてきたピカソの言葉。そして、その生涯をたどる。すべての「何かをつくるひと」に捧げる一冊となっている。
91歳で亡くなる直前まで「呼吸をするように」描き続けた天才画家の胸にせまる生のエネルギー溢れる言葉
―みんな、いつも同じことをしている。何をやってもかまわないのに何がそれを妨げているのか―
変幻自在に画風を変えたことで知られるピカソは、つねに新しいことに目を向けていた。画風がめまぐるしく変わったのもそのためである。
―重要なのは熱狂的状況をつくることだ―
ピカソの「熱狂的状況」に巻きこまれた女性たち友人たちは数多く、それぞれ傷つきもしたが、みなピカソが作る出した熱狂的状況の虜となっていた。
ー何も見えないときには、黒を塗れー
創作においては偽りや作為は何の役にも立たないどころか邪魔であり、なぜならそこには真実がないからで、真実がない作品で人の心を打つことはできない、とピカソはつねに考えていた。
ーいい絵には、無数のカミソリの刃が突き刺さっているはずだー
「絵は観る人を居心地よくさせるのではなく刺激を与えるものだ」というピカソの意見がするどくあらわれている言葉。自ら摩擦を起こしにいき、摩擦によって生じる熱から想像力の炎を燃やしていた。
ー自分のファンになったら終わりだー
「絵を描きはじめると、美しいものを発見することがたびたびあるが、警戒が必要だ。美しい発見は破壊しなければならないからだ。破壊して、そして発見して、また破壊する。それを繰り返すのだ。成功は発見を否定した先にある」ピカソには自分自身を否定し続けることが必要だった。
ーテクニックは必要だが、重要なのは完全にそれを身につけることだー
「半端ではなく完全に身につければ、それを意識しなくなる。そのときはじめてテクニックが活きる」。誰でも描ける子どもの絵のようだなどと言われるピカソの絵画は、完璧なまでの「基礎」があってこそのもの。それも並大抵ではない完璧なまでの基礎である。その上で破壊し、崩し、構築したのである。「デッサンはいくらやっても充分ではないよ」とモディリアーニへもアドバイスしていた。
ー絵はそれを観る人の目を通してのみ生きるのだー
《ゲルニカ》の存在意義は、絵画鑑賞とは縁のない人たちまでをも震撼させる強い力にある。「戦争はむごたらしい。戦争だけはだめだ」と思わずにはいられない。だからこそ「反戦」のシンボルとなり、第二次世界大戦後も朝鮮戦争やヴェトナム戦争など、そして現在も戦争が起こるたびに、その存在を世界に知らしめ続けている。
目次
- はじめに
- chapter1 流儀 ーー肝心なのは、内側からあふれる衝動だ。それが紛れもない事実だ。
- chapter2 創作 ーー創りなさい。続けなさい。
- chapter3 恋愛 ーーわたしのような男のもとから立ち去る女はいない。
- chapter4 交友 ーーシャネルはヨーロッパでもっともセンスのある女だ。
- chapter5 闘い ーー何にもならないことだとしても、やらなければならないことはある。
山口 路子(やまぐち・みちこ)
1966年5月2日生まれ。作家。核となるテーマは「ミューズ」「言葉との出逢い」「絵画との個人的な関係」。著書『オードリー・ヘップバーンの言葉』『ココ・シャネルの言葉』をはじめとする「言葉シリーズ」が累計60万部突破を突破。
『ピカソの言葉 勝つためではなく、負けないために闘う』書籍概要
著者 | 山口 路子 |
発売 | 2023年4月12日 |
仕様 | 文庫 / 256ページ |
定価 | 880円(税込) |