クレーやマティスも珠玉の名作揃い ベルリン国立ベルクグリューン美術館展

2022年10月8日(土)から開催中の「ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展」は閉幕まで1ヶ月余りとなった。本展はベルリン国立ベルクグリューン美術館が所蔵するドイツ生まれの美術商ハインツ・ベルクグリューン(1914-2007年)が審美眼と情熱によって厳選した粒選りのコレクションを紹介。ベルクグリューンは晩年まで作品の購入と放出を繰り返しコレクションに際立った特色を持たせるよう努め、最終的には彼が最も敬愛した同時代の4人の芸術家たち、パブロ・ピカソ、パウル・クレー、アンリ・マティス、アルベルト・ジャコメッティの作品に重点を置いた珠玉のコレクションをつくりあげた。

adf-web-magazine-picasso-and-his-time-1

展示室内の様子

日本初公開76点を含めた97点の作品に、日本の国立美術館の所蔵作品を加えた計108点を展観。20世紀モダン・アートの神髄を観ることができ、展示会場では一部の作品を除き撮影することも可能となっている。

クレーの輝き

クレーはピカソと並びコレクションのもうひとつの柱であり、その機知と詩情に溢れた作品群は本展のみどころのひとつ。ベルクグリューンは、ピカソとクレーこそが20世紀美術の土台と考えて、バウハウス時代から最晩年までを網羅した世界で最も質の高いクレー・コレクションのひとつを作り上げた。造形原理の考察とロマン主義的な想像力が融合したクレーの芸術は、ピカソとは対照的であるが、クレーが同時代の画家の中でピカソに最も強い関心を持ち、キュビスムに影響を受けたことは知られている。初公開作品26点を含む34点ものクレー作品はいずれも粒揃い。一度に鑑賞できるのは貴重な機会と言える。adf-web-magazine-picasso-and-his-time-5adf-web-magazine-picasso-and-his-time-6

色彩のマティス

ピカソとならぶ20世紀の巨匠マティス。純粋な色彩と簡潔なデッサンの総合体である切り紙絵は今日ではマティス晩年の偉大な達成と見做されていたが、その切り紙絵に特化した最初の展覧会をいち早く開催し、高く評価したのがベルクグリューンであった。本展では日本初公開11点を含む16作品の油彩・素描・切り紙でマティスの色彩豊かな世界を楽しむことができる。adf-web-magazine-picasso-and-his-time-7adf-web-magazine-picasso-and-his-time-8

圧巻のピカソ

本展の最大の見どころは、日本初公開35点を含む46点のピカソ作品。ピカソの初期から晩年まで、青の時代からキュビスムを経てどのように画風が変遷していったのか、さらには両大戦間から第二次世界大戦後に至るピカソ芸術の変容の過程を、ピカソの初期から晩年までの選び抜かれた珠玉の作品群で、時代を追いながら展観できる機会となっている。

「ピカソとその時代」 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展

会期2022年10月8日(土)から2023年1月22日(日)まで
時間9:30 ~ 17:30
会場国立西洋美術館