ポーラ美術館 アトリウムギャラリーにて、パターンデザインを用いて空間を再構築するアーティスト、中島浩子を紹介

ポーラ美術館の現代美術を展示するスペース「アトリウム ギャラリー」にて、「中嶋浩子 CONTINUUM|この世界を構成するもの」展が、2021年9月18日(土)から2022年3月30日(水)まで開催される。

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《Hilbert curve》 2021年 © Hiroko NAKAJIMA

ポーラ美術館は、開館15周年にあたる2017年に現代美術作家の活動を紹介する「アトリウム ギャラリー」を新設。芸術表現と美術館の可能性を「ひらく」という趣旨の展示「HIRAKU PROJECT」にて、公益財団法人ポーラ美術振興財団の助成を受けた作家を紹介している。第12回目となる今回は、この世界を独自に解釈し、幾何学的連続模様(パターンデザイン)を用いて、空間を再構成して表現するアーティスト、中嶋浩子を紹介する。

中嶋浩子は、連続する自然現象や一定の条件のもとで起こる事象を、数学的公理(註1)や概念から生まれる、人工的な幾何学模様へと再構築して、「CONTINUUM:連続体」として表現している。今回の展覧会のタイトルは、中嶋自身が幼少期から漠然と抱いてきた、「この世界を構成しているものとはなんだろう?」という問いに由来する。そしてこの問いを制作のコンセプトとしてきた中嶋は「見えないけれど、確かに在る連続する世界(空間)」を証明するものの一つとして、数学の空間充填曲線(註2)を空間に展開した作品にたどり着いた。

註1)ある理論の出発点となる仮定のこと 註2)平面や空間の一部分を埋め尽くす曲線

本展では、開放的なアトリウム ギャラリー全体を、線の連続からなる模様で埋め尽くして、規則的かつ感覚的に構成された「連続する形」を、新作インスタレーションとして発表する。線の模様に加えて、形、色、線などによって表現された連続体の一部をクローズアップした平面作品と立体作品が、別の次元を行き来しながら連続した空間を構成するための要素(ピース)として会場のあちこちに配置される。

中嶋 浩子(なかじま・ひろこ)プロフィール

東京都生まれ。武蔵野美術大学造形学部工芸工業デザイン学科テキスタイルデザイン専攻卒業。中嶋は、幾何学的形態や文字をシンボル化し、「連続する形(模様)」を中心に制作。2014年より公益財団法人ポーラ美術振興財団若手芸術家在外研修員として、ゲッティンゲン大学数理科学研究科(ドイツ)、フィンランド自然史博物館(フィンランド)にて研修。以降、公益財団法人野村財団在外研修員(美術)での研究滞在を経て、東京を拠点に活動を展開している。国内外での展示、テキスタイルデザインシリーズ<MATHEMATIQUE>、 日本語オノマトペを図形化し連続模様にした〈ONOMATOPÉE〉 、建築家とのプロジェクト「建築現場をオノマトペで覆う |Cover the construction wall with the onomatopoeia patterns」等を通じ、アート、デザイン、建築など、領域を横断して「連続する世界」をテーマとしている。ドイツでの数学研修において、「見えない部分を構成するもの」を概念数学の世界に見たことで、近年では、模様の工学的研究の他、様々なメディウムでの作品制作に取り組み、独自の世界を展開している。adf-web-magazine-pola-museum-nakajima-hiroko-2

「中嶋浩子 CONTINUUM|この世界を構成するもの」開催概要

会期2021年9月18日(土)~2022年3月30日(水)※会期中無休
会場ポーラ美術館1F アトリウム ギャラリー