「ヤン・ヴォー ーォヴ・ンヤ」展

国立国際美術館は、世界で注目を集めているアーティスト、ヤン・ヴォー(Danh Vo)の日本の美術館では初となる個展「ヤン・ヴォー ーォヴ・ンヤ」を開催する。 ヤン・ヴォーは1975年、ベトナム・バリアに生まれ、現在はベルリンとメキシコ・シティを拠点に世界各地で活躍。ヴォーは4才の時に、父親の手製のボートに乗って家族とともにベトナムから逃れた。海上でデンマークの船に救助され難民キャンプを経てデンマークに移住。コペンハーゲン王立美術学校、フランクフルト（ドイツ）のシュテーデル美術学校で学んだ。

ヤン・ヴォー《All work》2019 年 展示風景画像（第 58 回ヴェネチア・ビエンナーレ、2019 年） Courtesy the artist Photo by Nick Ash *無断転載禁止

ヤン・ヴォーは、彼自身の経験、家族の歴史、社会的あるいは政治的な歴史に彩られたレディ・メイドの物、写真や手紙などの蒐集品、また彼の周辺の大切な人たちの手によるものを取り込みながら作品化する。それらの作品を通じ、アイデンティティ、権力、歴史、覇権主義、エロティシズムといったテーマが直接的にあるいは比喩的に顕れ、鑑賞者にも一つの事物に対して異なる角度からの視線を持つことを誘う。

本展は、世界的に活躍するアーティスト、ヤン・ヴォーの全貌を明らかにする日本の美術館における初個展であり、当館のみの開催となります。ヴォーの師、父親、恋人、ミューズであるヴォーの甥等、ヴォーの周囲の大切な人たちによる作品や、ベトナム戦争を押し進めた米国防長官R.マクナマラの遺族との協働による作品など新作、近作を含め約40点余の作品を展示する。ヴォーの卓越した選択眼、組み合わせの妙を存分に堪能でき、ヴォーにより丹念に考え抜かれた展示空間への作品配置も見所となっている。