異なるビジョンを映し出す万華鏡を通して複合的かつ多面的な物語をみるようなエキシビジョン
ジョルジオ・アルマーニがマグナム・フォトと共同でキュレーションしたこの展覧会は2022年6月19日から11月6日まで開催され、10人の国際的に活動する写真家の多彩な視点とそれぞれの解釈が写真に表現されている。活躍中の作家も、既に他界した作家も、現実を探求し示唆や感情を画像に変換したいという願望は彼らの共通項であり、そのスペクトルは幅広く、さまざまな作品が紹介されている。
中国で建築物よりも人々の顔に焦点を当てたクリストファー・アンダーソン、村からメガポリスに成長したドバイに50年ぶりに戻ってきた漂流者の目を通して都市を見たオリビア・アーサー、近代化から逃れたモロッコの長い物語を描いたブルーノ・バルベイ、ニューヨークのダイナミズムを不滅のカラー写真で描いたワーナー・ビショフ、建築を社会政治的空間としてとらえたルネ・ブリ、陸と海の境界線として海岸線をおさめたハリー・グリュヤート、イギリス人の生活を痛烈に切り取ったマーティン・パー、予想しないようなアングルで東京やヴェネツィアを捉えたゲオルギー・ピンカソフ、イランの日常を描いたニューシャ・タバコリアン、飽和状態のラテンアメリカやカリブ海の色彩を表現したアレックス・ウェブなど、多面的な物語をみるようなエキシビジョンとなっている。
写真に魅了されるのは、思いがけない視点から現実を見たときの驚きと同じような感情を抱くからです。特に私自身が新しい目で世界を見るようになってから知ったマグナムの写真家たちの作品には強く惹かれてきました。Colors, Places, Facesは、それぞれの写真家が独自の視点で切り取った、近くて遠い世界や文化が織りなすカラフルな旅へと私たちを誘います。彼らの写真は決して単純なルポルタージュではなく、それぞれが全く異なるものです。
ジョルジオ・アルマーニ
ジョルジオ アルマーニはこの展覧会を通じて、子供たちを救い、彼らの未来を保証するために100年以上活動している国際機関、セーブ・ザ・チルドレンのプロジェクトを支援することで、教育の貧困と学校中途退学の撲滅を目指している。
マグナム・フォト
ロバート・キャパ、アンリ・カルティエ=ブレッソン、チム・シーモア、ジョージ・ロジャーによって75年前に設立されたマグナム・フォトは、世界で最も有名なフォトエージェンシーの一つ。画像を通じて世界のストーリーを今も伝え続けるマグナムの写真家は、まだカラー写真がエレガントではないと捉えられていた時代にいち早くモノクロ写真からカラー写真に切り替え、時代の流れに逆らってきた。また、旅行が一般的ではなかった時代に旅先で発見したことを雑誌や定期刊行物に掲載し、場所、人々、文化を表現した。歴史の証人であるマグナムの写真家は、今日に至るまで異なる視点を提供し、現実の新しい見方を提案してきた。