フランスが拠点のアーティスト、ジェレミー・グリフォと古市牧子の「モンキービーチの冷めたコーヒー」展が開催
東京のWISH LESS galleryにて、フランスを拠点に活動するアーティスト、ジェレミー・グリフォと古市牧子による2人展「モンキービーチの冷めたコーヒー」が、2023年7月8日(土) から23日(日)まで開催される。本展では、二人が旅先での体験を元に作り上げた「得体の知れないもの」を介して、ひとと自然との関係性に新たな視点をもたらす。
ジェレミー・グリフォは仏・ニース出身、架空世界にはびこる奇妙な植物やクリーチャーを独創的に繊細なタッチで描く作家。一方、古市牧子は金沢出身、現在は仏ナントにて活動し、水彩ならではのにじみやぼかしを巧みに操り、生物の裏側に潜む怪しい側面を切り取った作品が印象的である。
本展では、二人が旅先での体験を元に作り上げた「得体の知れないもの」を介して、ひとと自然との関係性に新たな視点をもたらす。樹木がまるでエイリアンのような姿だったり、森の動物が神の化身に見えたりと、現代社会で忘れてしまいがちな微細な感性を刺激し、自然界の神秘と驚きに満ちた一面を伝える。
作家ステートメント
昨年末からジェレミーが数ヶ月間滞在制作したマレーシアのペナン。古市は2週間だけ現地に合流した。ある日、私たちは自然と野生の猿を見にモンキービーチに向かった。モンキービーチとは、マレーシア・ペナン島の北部に位置する、野生の猿が生息する観光地だ。
そこで私たちはマレー人のリーさん(仮名)という人に出会った。笑顔が印象的で細身、50歳くらい、どこかのサッカーチームのTシャツを着ていた。古市が日本人だと分かると満面の笑みで得意の日本語を話し始めた。「ウォークマンとリュックサック一つだけ持って日本に行ったよ!僕は本当に若かった。」日本が大好きで仕方ない、日本の滞在は今もキラキラとした良き思い出として彼の記憶に残っているようだ。「30年前このモンキービーチは日本人だらけだったんだよ。今はもう全然いないけど」
異国の地で多少なりとも疎外感を感じていた私たちは、彼との会話で得体の知れない安堵感を得た。ちなみに猿は観光客からたくさんご飯をもらって満腹のため、奥で昼寝をしていて1匹も見えなかった。
作家プロフィール
Jérémy Griffaud/ジェレミー・グリフォ
ジェレミー・グリフォは、1991年ニース生まれのアーティスト。モナコ公国パヴィリオン・ボジオ高等美術学校卒業後メディアアーティストとして活動。想像上の独自世界を水彩画で描き、それをデジタル化・アニメーション化する。絵画やビデオ作品と同時にバーチャルリアリティや没入型の映像インスタレーションにも作品展開している。彼が作り出す妖艶で催眠術のような、サイケデリックで特異な世界は、人間と自然の関係を問うものである。国際的なアニメフェスティバルで数多く発表、フランス国内以外にもイタリア・ローマのヴィラ・メディシスや北欧、東南アジアなど世界各地の滞在制作プロジェクトにも参加する意欲的若手アーティスト。
Makiko Furuichi/古市牧子
古市牧子は、1987年金沢市生まれのアーティスト。継続的で曖昧な笑みをもたらす「ニヤリ」なものを作り続ける。主に水彩画を中心に制作している。近年は絵画を利用した空間インスタレーションや彫刻なども手がけている。今年シャガール国立美術館50周年記念展示に参加、その他ソミュールの歴史的な洞窟での巨大壁画制作、フォントヴロー修道院に設置する1トンにも及ぶ鐘の装飾制作を手がけるなど、様々なエリア・分野で活動
している。
デュオとして
両者共に植物や自然、日本の妖怪や人類学、現代社会への問題提起などをテーマに制作しており、共にナントやニースでグループ展を開催。2022年BEPPU PROJECT主催のKASHIMAアーティスト・イン・レジデンスに選考され、地元住民と共同で3Dアニメーション「Beppunication ベプニケーション」を制作。
ジェレミー・グリフォ+古市牧子 二人展 「モンキービーチの冷めたコーヒー」開催概要
会期 | 2023年7月8日(土) ~ 23日(日) ※月~水曜 休館 |
会場 | WISH LESS gallery |
時間 | 木曜~日曜 12:00~18:00 |
入場料 | 無料 |