「冬眠映像祭」初開催
日本気鋭のアニメーション作家たちがマルチメディア映像体験を展開
十和田市現代美術館は十和田の街が雪に包まれる冬の期間、映像を楽しめる企画として「冬眠映像祭vol.1 かいふくのいずみ」を2020年1月25日から4月5日まで開催する。このVol.1のゲストキュレーターにアニメーション研究の第一人者である土居伸彰を招き、インディペンデント・アニメーション作家たちの試みにフォーカスを当てる。Vol.1への参加アーティストは、ひらのりょう、ぬQ、最後の手段、の日本のアニメーション作家3組。
ひらのりょうは、マンガ『FANTASTIC WORLD』をはじめ、近年では俳優としての活動を開始。ぬQは、チャットモンチーや水曜日のカンパネラらのミュージックビデオを手掛け、独自の世界観によるマンガやイラストレーションも人気。 最後の手段は、マンガとアニメの融合や数々のミュージックビデオ、さらには立体作品により太古と今をつなげる深遠な世界を展開。それぞれがマルチメディアな活動をする注目のアニメーション作家。
「冬眠映像祭」は映像の上映企画ではなく、参加アーティスト3組が合同で世界観を設定し、アニメーションも、またそれ以外も、新作や過去作を集めることで、展示空間全体をひとつのコンセプトに基づいた世界へと変容させる。 アーティスト3組による十和田市での2019年8月のリサーチを経て、展示空間が「かいふくのいずみ」をコンセプトとした空間に生まれ変わる内容となっている。
土居伸彰氏(ゲストキュレーター)より
「冬眠映像祭vol.1 かいふくのいずみ インディペンデント・アニメーション最前線!」では、アニメーションを中心にマルチジャンルで活躍する日本のアニメーション作家3組――ひらのりょう、ぬQ、最後の手段――の上映・展示を行います。
同年代のこの3組の作家たちは、わたしたちの生活に根ざした土着のモチーフや、レトロさを感じさせる様々な意匠を用いながら、そのなかに、現代的なスケール観を超えたなにものかを宿らせ、この日常的な知覚のなかに、未来や妖怪(もしくはUFO)、幽霊や太古といった錯綜する時空間をねじ込み、体験させ、転覆させ、しかし最終的に顔をほころばせ、身体を喜ばせるという、共通の作風を持っています。
2015年に渋谷で開催された「パワースポット」展以来となるこの3組によるグループ展では、十和田での事前リサーチによってこの地の霊性にインスピレーションを受け、共同で展示空間を作り上げます。本展覧会はグループ展ゆえ、複数のアーティストのパワーが融合することで、新たな価値観が生まれていくことになるでしょう。思えば十和田市の歴史は複数の自治体(権力=パワー)の合併によってできあがり、十和田湖およびその周辺の自然も噴火をはじめとする複数の自然現象(のパワー)の合せ技により形成されたものです。会場となる美術館という場所もまた、日常とは違った価値観・パワーのあり方を呼び寄せる場であり、そのパワーを浴びるために世界中から人々が訪れ、それがまたパワーをもたらします。
複数のパワーの融合がもたらしうるポジティブな効果・新たな価値観の誕生が、この展示において達成されるべきものとなります。それを達成すべくアニメーションの上映のみならず、絵画や彫刻・オブジェなど、多彩なものを組み合わせることで、種々のパワーを受け取ることのできる素敵な空間を作り上げることを目指します。3組は合同で、この展覧会のための「モニュメント」となる新作を作る予定にもなっています。全体として、「土着」と「宇宙」と「精神世界」をつなぎあわせた温泉のようなホッコリ感のある空間を生み出すことで、来場者のパワーを「回復する泉」――そこに十和田湖の存在が大きく影響しているのは間違いありません――となることを目指します。
動植物が次の春が来るまで眠りにつく時期、本展示は、3組のパワーの合体により、新たな世界を作る力を十和田に蓄えます。「いずみ」のようなこの空間に浸ることで、新たな生に向け、「かいふく」をしにきてください。
展示情報
展示会名 | 冬眠映像祭Vol.1 かいふくのいずみ -インディペンデント・アニメーション、最前線! |
会期 | 2020年1月25日(土) - 4月5日(日) |
会場 | 十和田市現代美術館 |
時間 | 9:00 − 17:00(入場は閉館の30分前まで) |
休館日 | 月曜日(祝日の場合はその翌日) |
観覧料 | 企画展+常設展セット券1200円。企画展の個別料金は一般800円。高校生以下無料。 |