アニバーサリーイヤーに歴史を新たにする

カルティエ現代美術財団創設40周年を記念して、パリのパレロワイヤル広場に新たな空間をオープンし2025年末までに移転、一般公開されることを発表した。現在は1994年にパリのラスパイユ大通りに建築家ジャン・ヌーヴェルの設計でオープンした象徴的な建物に所在している。移転先もヌーヴェルが設計を手がける。

adf-web-magazine-cartier-contemporary-art-foundation-1

2025年からカルティエ現代美術財団が入る建物(パリ、パレロワイヤル広場)© Luc Boegly

ジャン・ヌーヴェルがカルティエ現代美術財団のために改装する歴史的建造物

ナポレオン3世による都市計画の一環として建設されたオスマン様式の堂々たる建物は、1855年にグラン・オテル・ドゥ・ルーブルとして落成したもので、その後1863年にはグラン・マガザン・ドゥ・ルーブルに、1978年にはルーブル・デ・アンティケールへと変遷。ヌーヴェルによる新規プロジェクトはこのような歴史的背景と対話する建築となる。

8500㎡の広さを擁し、展示スペースは6500㎡。うち1200㎡は、5つの可動式プラットフォームによって表面積と建物内のナビゲーションを変更することが可能。各プラットフォームの配置を変えることで、高さ最大11メートルの縦方向に層構造を成す空間を作り出すことが可能となる。また、1200㎡の通路からは、プラットフォームによって生み出される空間を見渡すことができる。

カルティエ現代美術財団は40周年を記念し、財団の歴史をたどる6つのポッドキャストシリーズ「Voir venir, Venir voir(予測して、見に来て)」を2024年9月17日にローンチした。ジュイ=アン=ジョザスで打ち立てた数々の偉業から、ラスパイユ大通りで起こった多くの革新、記憶に残る展覧会やあまり知られていないエピソードにまで至る。これまで耳にしたことのないようなインタビューも盛り込みながら、このカウンターストーリーをつまびらかにし、これまで絶えず独自性をつきつめ、慣習に挑み続けてきた現代アートを象徴するこの空間について語られている。ポッドキャストシリーズはすべての視聴プラットフォームで視聴でき、毎週新しいエピソードが配信されている。

adf-web-magazine-cartier-contemporary-art-foundation-2

カルティエ現代美術財団が入る予定の建物の窓に設置されたインスタレーション © Martin Argyroglo

アニバーサリーイヤーの一環で、カルティエ現代美術財団は創設以降、創作の喜びを共に分かち合ってきたアーティストたちを主役にしたインスタレーションを制作。パリのパレロワイヤル広場の張り出し窓に掲示されている。ポートレートには、ジャン・ヌーヴェル、アニエス・ヴァルダ、クラウディア・アンデュジャール、北野武、パティ・スミス、シェロアナウェ・ハキヒィウィ、マリー・ロジエ、ロン・ミュエクをはじめとする約30名のアーティストや著名人が名を連ね、高さ7メートルの張り出し窓にカルティエ現代美術財団の歴史を一望できるパノラマが映し出されている。

また、アニバーサリーブック『Voir venir, Venir voir』も刊行され、160以上の展覧会をたどることができるほか、厳選された12名のアーティストたちのストーリーや主な展覧会について記されている。