レールから外れたある男の一生を顕微鏡で観察したような作品
話題作を送り出す気鋭の映画スタジオA24と映画監督アリ・アスターが三度目のタッグを組んだ最新作『ボーはおそれている』は、主演に『ジョーカー』のホアキン・フェニックスを迎えたオデッセイ・スリラーで、2024年2月16日(金) から全国公開となる。俳優のエマ・ストーン、マーティン・スコセッシ監督、ポン・ジュノ監督、ギレルモ・デル・トロ監督ら、映画から愛される錚々たるクリエイターたちが本作への支持を表明する一方で、物議の渦が全世界へ広がっている話題作にして問題作でもある。
『ボーはおそれている』
今、最も独創的な映画人の一人であるアリ・アスターによる最新作は、夢か?現実か?分からなくなってしまう未知への旅を描く。母親の元へ帰省しようとするが、見えざる何かに動きを監視されているのではと怯えながら、不思議で邪悪な世界に誘われていく一人の男性の物語。意味深長で、現代社会における感情的なカオスと蓄積された不確実性に正面から立ち向かう『ボーはおそれている』で、主人公は人生の終わりの淵を旅し、いたるところで恐怖とユーモアに遭遇する。市内のアパートで一人暮らしをしている小心者のボー(ホアキン・フェニックス)は、悪夢のような日々を過ごしている。不安と妄想に陥りがちなボーは、長らく通っているセラピスト(スティーヴン・マッキンリー・ヘンダーソン)から、近いうちに母親(パティ・ルポーン)を訪ねるよう提案される。しかし、出発前夜に騒動が起こり、ボーの人生は予期せぬ方向へ。夢か現実かわからなくなった世界で、目的地にたどり着くことができず、地図に載っていない道を旅しながら、ボーは今までの人生で出会った人たちによる、嘘に直面していく。
『ヘレディタリー / 継承』と『ミッドサマー』のアリ・アスターが送り出すのは、支配と継承そして逃避の映像世界。壮大な冒険談であり、怖がりの主人公を繊細に描いた本作は空疎な人生を巡る人間研究であり、自分を取り巻く家族や環境、内面の問題に対処するのが苦手な人間が巡る英雄的な旅でもある。心理的なアスター監督の3作目はブラックユーモア満載な大作映画で、現代的でありながら懐かしさも覚える作品となっている。
『ボーはおそれている』作品詳細
原題 | BEAU IS AFRAID |
公開 | 2024年2月16日 |
監督・脚本 | アリ・アスター |
時間 | 2時間59分 |
映倫 | R15+(仮) |
URL | http://tinyurl.com/bdettbv3 |