偶然の産物が想像を超えていく
伊藤彩展「PASSING WIND」が小山登美夫ギャラリー六本木で2024年8月3日(土)から9月7日(土)まで開催中。本展では同会場では7年ぶり6度目の個展で、新作ペインティングと立体作品が発表されている。
オレンジ、赤、緑、紫、黄色など人工的なネオンのような暗く鮮やかな色彩の渦。傑出した構成力の、時空がねじれた背景。飄々とした人かなにかが巨大化、矮小化されたり、浮いたり。伊藤作品を観るとけだるい無重力の空間を覗き込んでいるような不思議な感覚を覚える。伊藤の作品制作の特徴として、実際にそのカオスな世界観を自ら作り上げたのちに、写真を撮り、その写実として絵画を描いている点が挙げられる。キャラクターのような存在を制作し、布、植物、おもちゃ、セロファンなどと組み合わせてジオラマを作り、何枚もの写真を撮りセレクト、それを忠実にキャンバスに描いていく。その気の遠くなるようなプロセスで作品の精度を高めていく方法は、想像を超えた驚きや楽しさを発見する実験のようである。
伊藤彩
1987年和歌山生まれ。2011年京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻修了。在学中に英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アートに交換留学。2016-2018年にはアイルランドのダブリンで制作を行い、現在は和歌山を拠点に活動している。
主な個展として「Lava drop 〜伊藤彩初作品集 “RAPID RABBIT HOLE” 出版記念展〜」(gallery ON THE HILL、東京、2020年)、「Unfortunately I love you」(YIRI ARTS、台北、台湾、2023年、「Aya Ito: Magic Spittle」 (HIVE CENTER FOR CONTEMPORARY ART、北京、2023年)、「ゲノムの詩(うた)ー Collaboration with Fujimura Family」(髙島屋大阪店 6階ギャラリーNEXT、大阪[川久ミュージアム、和歌山へ巡回]、2024年)、「PASSING WIND」(小山登美夫ギャラリー六本木、2024年)。
主なグループ展に「レゾナンス 共鳴 人と響き合うアート」(サントリーミュージアム[天保山]、2010年)、「和歌山と関西の美術家たち リアルのリアルのリアルの」(和歌山県立近代美術館、2015年)、「六甲ミーツ・アート芸術散歩2017」(六甲ガーデンテラス他、兵庫、2017年)、伊藤彩&リチャード・ゴーマン「Sea Both Sides」(8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Gallery、東京、2019年、「Dreamscape Estuary」(Unit London、イギリス、2023年)、「やんばる アートフェスティバル 2022-2023」(沖縄県北部地域各会場、沖縄、2023年)など。
伊藤彩展「PASSING WIND」開催概要
会期 | 2024年8月3日(土)~9月7日(土) |
時間 | 11:00~19:00 |
会場 | 小山登美夫ギャラリー |
料金 | 無料 |
URL | https://tinyurl.com/43jw2set |