ベネッセアートサイト直島で初めて館名に「直島」を冠した美術館
福武財団が、2025年春に香川県直島の本村地区近くの高台に新たに開館予定の美術館の正式名称を「直島新美術館」に決定した。直島新美術館のロゴは地中美術館や豊島美術館のロゴも手掛けた祖父江慎によるデザインで、設計は安藤忠雄建築事務所。館長は三木あき子。
ベネッセホールディングス、福武財団は1980年代後半から瀬戸内海の直島、豊島、犬島を拠点にアート活動を展開。その総称である「ベネッセアートサイト直島」は、自然・建築・アートの共生、地域との協働によるコミュニティの発展などを念頭に、離島において都会とは異なるアート活動を通して、常に時代・社会と向き合い、新しい価値観を提案してきた。直島新美術館はベネッセアートサイト直島において、初めて館名に「直島」を冠した、集落の中に位置する美術館。活動の原点である直島において、島の人々との関わりを通して地域の活性化に資する美術館のありようを改めて示すとともに、「アート・建築・自然・コミュニティの共生」のさらなる深化を図ろうとするものとなる。
ロゴ
地中美術館や豊島美術館のロゴは、それぞれ時代が異なる明朝体をベースに作成され、直島新美術館のロゴの和文の骨格も昭和16年(1941)頃から使用されている新聞用扁平明朝体をベースに、縦と横の太さの差を少なくすることで文字のサイズが小さくなっても可読性が保たれるタイプの明朝体。そして、「直」の文字は福武財団の発足当時に用いていた最終画がなめらかな「直」。欧文は、字送りが同じになるように合理的に設計されたスラブ系のタイプライター用書体で、和文・欧文とも数百年先を見据える直島新美術館のロゴとして、どのような変化にも対応するロゴとなった。
祖父江慎(そぶえしん)
1959年、愛知県生まれ。アートディレクター、コズフィッシュ代表。並はずれた「うっとり力」をもって書籍や展覧会のデザイン、グッズのブランディングなど幅広いジャンルのデザインを手がけている。地中美術館、豊島美術館のロゴ、スヌーピーミュージアム東京のアートディレクション、ミッフィー展、エヴァンゲリオン展、さくらももこ展、北斎展など多くの展覧会を手掛ける。著書に過去のブックデザインをまとめた『祖父江慎+コズフィッシュ』(パイ インターナショナル)、ふしぎな本『おはよう ぷにょ』(小学館)がある。書籍のアートディレクションとしては『ぺぱぷんたす』『ぺぱぷんたすぷち』(小学館)がある。近刊は『朝のデザインさん』『夜のデザインさん』(パイ インターナショナル)。TDC会員、AGI会員。
直島新美術館
ベネッセアートサイト直島における安藤忠雄設計のアート施設として10番目の美術館。地下2階、地上1階の3層からなる美術館で、日本も含めたアジア地域のアーティストの代表作やコミッション・ワークを中心に展示・収集する。
また、企画展示の開催や、トーク、ワークショップといったパブリック・プログラムなど展示以外の美術館活動にも取り組み、より多様な視点や表現、時代や社会に対する多義的なメッセージを発信するとともに、繰り返し人々が訪れ、島内外の多種多様な人々が出会う交流・連携の場としても機能することが期待されている。島の数々のアート施設によって美術館群が形成されつつあるなか、直島新美術館は、これらを有機的に結びつけ、より一層自然や集落と一体化したアート体験を創出するとともに、アートと建築、自然、そしてコミュニティの調和・融合のさらなる発展形を目指している。
直島新美術館 概要
設計 | 安藤忠雄建築研究所 |
建築 | 地上1階、地下2階の3階建て、カフェ併設 敷地面積:6,017.67㎡、延床面積:3,176.43㎡ |
所在地 | 香川県香川郡直島町3299-73 |
開館 | 2025年春 |
館長 | 三木あき子 |