湖畔に佇む歴史的建物を活かした現代的なスパ空間
カナダ・ケベック州のレイク・マサウィッピ湖畔に位置する歴史的な宿泊施設「マノワール・ホヴェイ」に、LAMAS Architecture Ltdによる改装と拡張によって新たな「ル・スパ」が誕生した。このスパは建物の歴史を尊重しながらも、自然環境との一体感を生み出すデザインが施されている。
インスピレーションとリニューアル
2020年マノワール・ホヴェイはプールの改装と新たなスパ施設の追加を決定。LAMASはスパが周囲の自然と調和するようにデザインし、ホテルの歴史的な建築様式を活かしつつ、現代的な施設を導入した。湖から見えるスパ建物のコロネードは歴史的な背景と共に景観を引き立てながらも、控えめな高さで建物の調和を損なわない設計になっている。
自然と一体化した施設設計
スパの内部はシンプルかつ抽象的なデザインが取り入れられており、マッサージルームやハマム(蒸し風呂)には湖の花崗岩を思わせる石の仕上げや、地元の紅葉を象徴するアクセントタイルが配されている。各スイートにはプライベートテラスや広い窓があり、湖や木々を一望できる空間が整備されている。
建築上の挑戦と工夫
急勾配のある敷地に建設されたため、土壌保持や排水管理が難しく、ロッカールームには窓がないものの、天窓が柔らかい自然光を取り入れている。またプールデッキやアウトドアサーキットと接続するために、屋外デッキと傾斜地の間に複雑なメカニカルシステムが巧妙に組み込まれている。
歴史的要素の保全
スパの外観はマノワール・ホヴェイの特徴的なコロネードを模しており、建物と自然をつなぐ架け橋として機能している。外観の保全にあたっては100年以上の歴史を持つ植物やコラムの一部を一時的に取り外す必要があり、慎重に作業が行われた。取り外された植物は無事に再生され、建物の外観に再び彩りを添えている。
新たなデザインへの挑戦
LAMASにとって外観において歴史的な要素を維持することは必然であり、スパ内部ではクリーンで抽象的なデザインを追求した。ハマムの石材やマッサージルームの木材のカラム、ロッカールームのタイルは、周囲の自然や風景と調和し、訪れる人々に癒しと刺激を与える空間を創出している。
LAMAS
LAMAS Architecture Ltdはアメリカとカナダで登録されている建築スタジオで、住宅から商業空間まで幅広いプロジェクトに取り組んでいる。装飾や色彩、光学的な効果といった要素を先進技術と融合させ、独自のデザインを追求している。