市の指定文化財が人々に開かれた図書館一体型スモールブティックホテルへ
モダニズム建築を代表する建築家・坂倉準三の建築群が集積していた三重県伊賀市旧庁舎の敷地内で、唯一解体を免れた旧南庁舎(1964年竣工)が、全19室のスモールブティックホテル「泊船(はくせん)」として再生され、2025年夏開業を予定している。モダニズム建築と伊賀市の豊かな歴史を融合させた唯一無二の空間で、心安らぐ滞在の提供を目指す。本再生計画建築パートナーとしてMARU。architectureの高野洋平、森田祥子が参画している。
伊賀市は京都〜奈良〜伊勢を結ぶ交通の要所であり、山々に囲まれた地形的特性がさまざまな食文化や独自の文化を育んできた。 旧上野市庁舎はこのような豊かな地形が生み出した街の中心地、上野丸之内に建ち、永い時を刻んできた。坂倉によって設計された旧市庁舎は、上野公園へと連続する起伏に呼応するように、高低差を活かして繋がり、周辺環境に開いたおおらかな空間を備えている。
「建築は生きた人間のためのもの」という信念を掲げていた坂倉により、旧市庁舎は伊賀上野城の丘陵、山裾の緑と城下町をつなぐよう低層で計画され、市民を見下げるのでなく市民を迎え入れ、市民と伊賀のまちなみと共に歩む建築として建てられた。
日本の代表する名建築を新たな時代に繋いでいくにあたり、まちの情報拠点で観光客にとっても深くまちの情報に触れる場所となる「図書館」、 伊賀の文化財である空間をより長く、ゆっくりと過ごすための場所となる「ホテル」、 伊賀をよりたくさんの人たちに知ってもらうきっかけとなる「観光交流」といった、 市民・観光客にとって必要な機能3点の視点から再生の計画が練られている。
泊船(はくせん)概要
所在地 | 三重県伊賀市上野丸之内116 |
客室数 | 19室 |
開業予定 | 2025年夏 |
URL | https://hakusen-iga.com/ |