ティラナに新たなランドマークを創出する「Hora Vertikale」タワーの建設が開始

ポルトガルの建築事務所OODAはアルバニア・ティラナで「Hora Vertikale」タワーの建設開始を発表した。近年、ティラナは都市再生と建築革新を進めており、MVRDVやビャルケ・インゲルス、51N4E、ステファノ・ボエリといった著名な国際建築家たちのプロジェクトが集まる都市として注目を集めている。このプロジェクトもその一環として、ティラナの景観に新たな魅力を加え、ポルトガル建築の国際的なプレゼンスを強化している。adf-web-magazine-ooda-hora-vertikale-3

「Hora Vertikale」の概要

多機能ビルである「Hora Vertikale」は、地上140メートルの高さを誇る「垂直村」として設計され、全体の敷地面積は55,000平方メートルにおよぶ。プロジェクトには大規模な緑地公園も含まれており、地域コミュニティに向けた公共空間として機能している。デザインの特徴として、全体を20個のキューブで構成し、各キューブはそれぞれ22.5メートル四方のサイズで、3つの異なる高さに配置され、複雑かつ流動的な外観を実現している。adf-web-magazine-ooda-hora-vertikale-4

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Skyline

地域経済と環境への貢献

ティラナの自然環境に着想を得た「Hora Vertikale」は、地元産の材料を積極的に使用し、地域経済の活性化を図るとともに、持続可能な設計を追求している。アルバニア国内の資源を用いることで、プロジェクト全体のカーボンフットプリントを最小限に抑え、建設が地域に与える環境負荷を軽減し、建築が都市景観に与える影響を考慮して周囲の公園や公共空間との調和を重視している。

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Model

「垂直の近隣住区」としての新しい都市空間

「Hora Vertikale」はティラナ市の新しい居住エリアとして、単なる高層住宅ではなく、住民と来訪者のための様々な機能を持つ「垂直の集落」を目指している。プロジェクト名に使用されている「Hora」とは、古代アルバニア語で「村落」を意味し、これが暗示するように、居住空間とコミュニティ活動が一体化した新しい都市生活の形を提案し、周辺住民を巻き込みながら、都市の活気と人々の交流を生み出すことを目的としている。

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Conceptual Model

革新と伝統の融合:新しい都市のランドマーク

ティラナの複雑な都市構造に呼応するように、各キューブには独自のデザインコンセプトが盛り込まれており、芸術的な要素や地域の伝統にインスピレーションを受けている。建物のファサードや形状は遠景から見ると異なる表情を見せ、見る角度によって異なる印象を与える視覚的な効果を生み出す。近づくにつれ、各キューブのディテールや配置の秘密が明らかになり、ティラナの都市特性に対する抽象的かつ具体的な解釈を示している。

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今後の展望とティラナの未来への寄与

OODAはポルトガルの建築スタジオとして初めてアルバニアでプロジェクトを手掛けることにより、国際的な建築市場における新たな機会を創出。また、「Hora Vertikale」の建設は、ティラナをヨーロッパの現代建築の新しい中心地として位置づけ、都市再生のモデルケースとなることを目指す。このプロジェクトが完成すればティラナの新しいランドマークとして、訪問者や住民にとって長く記憶に残る存在となる。adf-web-magazine-ooda-hora-vertikale-2

OODA

OODA(Office for Design and Architecture)はポルトガルを拠点とする建築スタジオで、革新的かつコンテンポラリーなデザインアプローチで国際的に評価されている。2010年に設立され、ポルトガル国内外で数々の受賞歴を誇り、建築、都市計画、インテリアデザイン、ランドスケープデザインなど、幅広い分野で活動している。彼らのプロジェクトは機能性と美しさを両立させながら、環境や社会に配慮した建築を実現することを目指しており、常に文化的・社会的文脈との関連性を重視している。