ビジネスとアートを繋ぐ「ハイコウ 国際免税レセプションセンター」

中国本土の南、南シナ海に浮かぶ海南島では、島全体の自由貿易港化を目指して各方面で変革が進められている。そんな中、世界最大級のショッピング複合施設、ハイコウ国際免税シティが2022年6月のオープンに向けて建設中である。この複合施設を含めた開発地区、ハイコウ市の西岸エリアへの入口に、このたびaoeが手掛けた「ハイコウ 国際免税レセプションセンター」が建設された。ここは、ショッピングモールのレセプションだけでなく、モダンアートギャラリーとしての機能も有しており、ビジネスとアートを繋ぐハイコウ市の重要な施設となるに違いない。

Photo credit: UK Studio

脱構築主義建築の手法を用いて建てられたレセプションセンターは、解体され、再構築された壁が、構造やボリュームの概念を解放している。そして、ブロックを散在させることで空間の無限の可能性を表現している。抽象化、簡素化された建築スタイルに、芸術的な要素が加わっている。

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外壁は、強いシンボル的な要素となるために幅を厚くしている。同時に、窓やプラットフォームを壁に挿入し、街に開けた空間とした。

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建物の幾何学的な構造を強調するため、至るところに湾曲した要素が加えられている。外壁に向かって創作されたカーブした壁は、視覚に刺激を与えるよう、異なる素材を使用している。施設の内部も、異なる形のブロックを散在させ、贅沢かつ多様な空間を作り出している。

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外壁の色には、一年を通して温暖なハイコウの気候をイメージした白を採用。降り注ぐ太陽光によって白い壁が更に明るく照らされ、より鮮やかに浮かび上がる。キャンバスのように白く広い外壁には、影のペンとインクで、書道を連想させるようなパターンが描かれる。

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突き出た壁や湾曲した壁は、チタニウム亜鉛合金や直線的な木目の柾目（まさめ）のパネルで装飾。木目の不規則なパターンの白と、合金のグレーがぶつかり合い、強いコントラストを生んでいる。乾燥したヤシの皮をイメージしたテクスチャーは、周囲の環境に自然と溶け込む効果もある。

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プロジェクトは、大きくふたつのエリアに分けられている。マーケティングエリアと、プロモーションエリアである。このふたつのエリアを独立させながらも一つの建物として融合させるため、それぞれのエリアをL字に繋げて配置している。マーケティングエリアは、主幹道路に面しておりオープンな空間となっている。1階の交渉エリアには、大きな窓ガラスが設置され、明るく開放的で外からの可視性も高いため、外界との隔たりを感じにくい。通行人が施設内の様子に興味を持ちやすい造りで、屋内へ人々を引き込む効果がある。マーケティングエリアと比べ、投資ゾーンとなるプロモーションエリアは、来場客のプライバシーを守るため、比較的閉じられた空間となっている。道に面した側には、音や視覚を遮るための壁が構築され、視界は中庭に向かって開けるようになっている。来場者は、チタニウム亜鉛合金のプレートで創られた円筒を通って奥へと進んでいく構造だ。2階には、中庭とその先に広がる地域一帯を見渡せるテラスがある。

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aoeについて

2016年設立のaoeは、北京を拠点に事業を展開する建築デザイン事務所。科学的な正確さと創造的な革新性をバランスよく兼ね備えたデザイナーチームを擁する。国際的なバックグラウンドで構成されたチームは、綿密な調査に基づいて現代の都市生活にソリューションを提供する。aoeが手がけるビジネスには、商業施設、複合施設、文化施設、オフィス、ホテル、高級住宅、教育、企画、インテリアデザインなど、中国で20以上の省と都市をカバーしており、社会性の高いデザインプロジェクトは国際的にも高く評価されている。