Dezeenアワード2022 建築部門のカテゴリー賞11作品が発表

Dezeenアワード2022の建築部門の各カテゴリーの受賞作品が発表されました。受賞作品は、90以上の国々から集まった過去最高件数の5,400を超えるエントリーの中から選ばれた、57のショートリスト作品から選出されました。建築部門のカテゴリー賞を受賞した11作品は、2022年11月29日(火)ロンドンで開催されるアワードイベントにて発表される、建築部門の最優秀賞をかけて競うことになります。青山デザインフォーラムは、今年もメディアパートナーとして本アワードをサポートしております。

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Business building of the year: Jakob Factory Saigon by G8A Architects and Rollimarchini Architekten. Photo by Oki Hiroyuki

カテゴリー賞 紹介

Urban house of the year: 8 Yard House by Studio Bright

8 Yard Houseは、メルボルン郊外の狭い土地に建てられた大家族向けの住居。名前は、建物に沿って続く8メートルの中庭にちなんでつけられました。全ての部屋が様々な角度から庭やテラスを眺める構造になっています。白いレンガで統一され、通りに沿って建つ穿孔された壁はプライバシーを守ってくれます。上品な佇まいだけでなく、限られた既存の土地に違和感なく収まる様が際立っていた、という評価を得ました。

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Urban house of the year: 8 Yard House by Studio Bright. Photo by Rory Gardiner

Rural house of the year: Marfa Ranch by Lake Flato Architects

Marfa Ranchは、メキシコ北部からアメリカ合衆国南西部にかけて広がるチワワ砂漠に建てられた低層の家屋で、ランドスケープに溶け込むようにデザインされています。8つに分けられた構造は、リサイクルのスチールパイプ柱で支えられた天井付きの通路で繋がっています。2フィートの厚さの築地塀は、この地の過酷な気候から家を守ってくれます。マテリアルの活用で、ランドスケープに溶け込むシンプルなデザインを実現しているところが高く評価されました。

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Rural house of the year: Marfa Ranch by Lake Flato Architects. Photo by Casey Dunn

Housing project of the year: Stories by Olaf Gipser Architects

Storiesは、アムステルダムのOlaf Gisper ArchitectsとBSH20A housing cooperativeが共同でデザインした、高さ47mの住居ビルです。当ビルの大部分はクロスラミネーテッドティンバー(CLT)で作られており、バルコニーなどをスチールフレームで包み込むように構築しています。健全な都市生活を実現する、この高密度でサステナブルな集合住宅は、未来の都市開発に繋がるプロジェクトであると評価されました。

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Housing project of the year: Stories by Olaf Gipser Architects. Photo by Max Hart Nibbrig

Residential rebirth project of the year: Hlöduberg Artist Studio by Studio Bua

ロンドンのStudio Buaは、アイスランド西側にあるフィヨルド「ブレイザフィヨルズル」を見下ろす土地に建つコンクリートの廃墟を Hlöduberg Artist Studioへと再生しました。納屋だった建物の既存のコンクリート基礎は維持され、ダブルハイトのスタジオとキッチン、そしてダイニングエリアが作られました。本プロジェクトは、技術的な快挙である一方で、外観の主張は控えめで、自然とコンテクストに溶け込んでいます。

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Residential rebirth project of the year: Hlöduberg Artist Studio by Studio Bua. Photo by Marino Thorlacius

Civic building of the year: Yong'an Village Community Hub by Tongji University and Archi-Union Architects

中国雲南省雲龍県にあるコミュニティハブYong'an Village Community Hubは、上海の同済大学の出資でスタジオArchi-Union代表のPhilip F Yuanの指揮の下、建築されました。半開放型の中庭のまわりを築地塀が囲い、上空はカーブしたスチールフレームの屋根に覆われています。伝統的な素材を現代的に活用する方法を提示しながら、贅沢な公共空間を提供し、人と地域を繋げます。

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Civic building of the year: Yong'an Village Community Hub by Tongji University and Archi-Union Architects. Photo by Schran Images

Cultural building of the year: Argo Contemporary Art Museum & Cultural Centre by Ahmadreza Schricker Architecture North

アメリカのスタジオArhmadreza Shricker Architecture Northは、1920年代に建てられたイランの醸造所を、現代的な美術館に再生しました。非営利団体The Pejaman FoundationのためにデザインされたArgo Factoryには、財団が保有するアートコレクションが保管・展示されています。5つのコンクリート屋根は近隣の建物と調和し、ビルの煙突を取り囲むように建てられた展望台は、テヘランの中心地でひと際存在感を放ち、街の活性化に一役買っています。歴史を重んじながら成し遂げた大胆な再生が、しっかりと未来を見据えている点が高く評価されました。

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Cultural building of the year: Argo Contemporary Art Museum & Cultural Centre by Ahmadreza Schricker Architecture North. Photo by Kayvan Radan

Business building of the year: Jakob Factory Saigon by G8A Architects and Rollimarchini Architekten

スイスのRollimarchini ArchitectsとG8A Architectsは、ステンレスワイヤーロープの生産工場をベトナムに建築しました。Jakob Factoryは、水平に広がって建てられる一般的な工場とは異なり、垂直のアプローチが強調されたデザインとなっています。ジオテキスタイルをまとったビルは、この緑の層が雨や日差しをしのぐビルの第2の表皮となり、環境にも配慮したデザインを実現しています。自然に溢れた工場は、ここで働く従業員のウェルビーイング向上に貢献します。工場としては珍しい環境に審査員は感銘を受けました。

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Business building of the year: Jakob Factory Saigon by G8A Architects and Rollimarchini Architekten. Photo by Oki Hiroyuki

Hospitality building of the year: Valle San Nicolás Clubhouse by Sordo Madaleno Arquitectos

メキシコ バジェ・デ・ブラボ近郊の湖に佇むValle San Nicolás Clubhouseは、クロスラミネーテッドティンバーと火山岩を材料に建てられています。メキシコシティのSordo Madeleno Arquitectosがデザインを手掛けたクラブハウスは、中央が丸くくりぬかれて水で満たされ、池のようになっています。小下がりの橋が池の上にかかり、2棟に分けられたクラブハウスを繋げています。建築美と線形美がランドスケープの中にバランスよく収まっている点が高く評価されました。

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Hospitality building of the year: Valle San Nicolás Clubhouse by Sordo Madaleno Arquitectos. Photo by Rafael Gamo

UK studio Scott Whitby Studio rehabilitated Cornwall's Jubilee Pool, the largest of only five seawater lidos remaining in the UK.

イギリスで5つしか存続していないリド(公共の屋外プール)のひとつである、コンウォールの港町ペンザンスにあるJubilee Poolが、Scott Whitby Studioにより生まれ変わりました。アールデコ調のプールは、地熱エネルギーによる稼働にアップグレードされ、天然資源を利用したエネルギー消費の少ない水温調節が可能となりました。そして、カフェとバー、新しいコミュニティホールを増設して、設備をさらに充実させました。「公共の資産を大切にし、次世代へ引き継ぎたいというコミュニティの強い思いが、地元民に愛され利用され続ける施設へと進化させたのです」と審査員はコメントしています。

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Rebirth project of the year: Jubilee Pool by Scott Whitby Studio. Photo courtesy of Scott Whitby Studio

Small Building of the Year: The Richard Rogers' Drawing Gallery by RSHP

プリツカー賞受賞建築家のリチャード・ロジャースがRogers Stirk Harbour + Partners(現在のRSHP)での最後の作品として手掛けたThe Richard Rogers' Drawing Galleryは、120㎡の小さなアートギャラリーです。フランスのプロヴァンスにあるシャトーラコステのブドウ畑を見下ろす丘に建てられた、片持ち梁のスチール構造は、メタル構造やファサードシステム構築のスペシャリストBysteelによって現地で組み立てられました。可視化された接合部分は、細部までエレガントにデザインされています。

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Small building of the year: The Richard Rogers' Drawing Gallery by RSHP. Photo by Stéphane Aboudaram

Landscape project of the year: Little Island by Heatherwick Studio, Arup and MNLA

Little Islandは、マンハッタン西側のハドソン川に132本のコンクリート柱で支えられて浮かぶ、2.4エーカーの公園です。イギリスのへザーウィックスタジオが、ハリケーン サンディによる被害を受けたピア54の復興を願って始めたプロジェクトで、そのデザインは、ハドソン川から突き出していた数百もの古いピアの木材から着想を得ています。ピア54とピア56の古い木材のほとんどは、生態系維持のために水中に保存されています。家族が集い楽しめる場を創出することで、ニューヨークに社会的価値を付加する、想像力に富んだインパクトのあるプロジェクトだ、と評価されました。

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Landscape project of the year: Little Island by Heatherwick Studio, Arup and MNLA. Photo by Timothy Schenck

さらに、Cultural buildingのカテゴリーからは、審査員特別賞(Highly commennded)が選ばれました。

Highly commended: Pingtan Book House by Condition_Lab

中国の湖南省にあるPingtan Book Houseは、二重らせん階段のある、子どものための読書と遊びの空間です。街中に、控えめでありながら、ワクワクさせてくれる特別な場所を創ったことが高く評価されました。

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Highly commended: Pingtan Book House by Condition_Lab

Dezeen Awards 2022 の審査と今後のスケジュール

今回の受賞作品は、Dezeen Awardsの国際的な審査団によって決定されました。審査員には、日本人建築家の藤本壮介、Sharjah ArchitectureTriennialのキュレーター Tosin Oshinowo、ナイジェリア系イギリス人の建築家 AnnetteFisher、スタジオAssembleの共同創設者 Paloma Strelitz、グリーン建築のパイオニア Stefano Boeri、パキスタンの女性初の建築家 Yasmine Lariなど、デザインや建築業界を牽引する錚々たる顔ぶれが名を連ねています。

審査員によって選ばれる、インテリア部門のカテゴリー賞は11月15日に、デザイン部門のカテゴリー賞は11月16日に、サステナビリティとメディア部門のカテゴリー賞は11月17日に発表されます。

すべてのカテゴリー賞受賞作品の中から、それぞれの部門の最優秀賞が選ばれます。部門の最優秀賞の発表は、2022年11月29日にロンドンで開催されるアワードイベントにて行われます。