プラハのアパートをアート・メゾンにリフォーム

チェコのプラハにある1930年代に建てられたアパートが、現代的なアートメゾンへとリフォームされたプロジェクト。屋根裏部屋がついたメゾネットタイプのアパート部分が、家族の住みやすい形へとレイアウト変更および機能化され、チェコのグラフィティシーンへの情熱を表現した、活気溢れる空間へと変身した。adf-web-magazine-art-maisonette-letna-linka-8

メインとなるのは、アパート中央部の煙突裏の壁を取り囲むオープンスペースだ。上下階は、手すりをガラスにしたスチールの階段で繋がり、上階にある寝室からは西向きの中庭に出ることができる。絵画やインテリアなどのインスタレーションは、旧知の仲である依頼人の個性や趣向を理解したデザイナーならではのチョイスで、居住空間を徐々に埋めていった。更に、新しい素材やワードローブなどへの挿し色の活用で、生活に彩りと多様性をプラス。既存のコンクリート壁やオークの床はそのまま残し、自然のツヤを出すための改修が施された。adf-web-magazine-art-maisonette-letna-linka-4

adf-web-magazine-art-maisonette-letna-linka-11キッチンはアップグレードされ、無駄なものはないスッキリとした空間に。上下階を繋ぐ階段は移設され、新しいレイアウトでは中心に位置しながらも、手すりをガラスにしたことで主張しすぎていない。その他のエリアは全て、できるだけシンプルに、そして明るく、調和することを基調にコーディネイト。そのため、上階に続くオープンな空間が引き立ち、更に、絵画の色合いや家具が、ディテールを極力排除したシンプルな壁を背景に際立っている。adf-web-magazine-art-maisonette-letna-linka-3

ドアフレームは壁に埋め込まれ、ドアは壁と同化するように同じ白で塗られている。玄関ホールは、大型の鏡のドアで仕切られており、洗面所とトイレに繋がっている。中庭に続く独立した柱廊は、元からガラス張りになっており、この明るく照らされた空間に新たに柔らかい椅子を設置し、こぢんまりとしたアート空間に。浴室とシャワールームのグレーの明暗の使い分けが、彩りにアクセントを加え、コテで均一に延ばされた浴室の壁面や床面と、シャワールームのアンスライトの小さなタイルも、質感に変化をつけている。adf-web-magazine-art-maisonette-letna-linka-16adf-web-magazine-art-maisonette-letna-linka-18adf-web-magazine-art-maisonette-letna-linka-20

このプロジェクトは、ミニマリストなデザインを得意とするスタジオが、依頼人の感性に刺激を受けることで、独自のスタイルから一歩外へ出て新たな表現をすることができた一例である。